10月 042010
 

前回、韓国南部の麗水(ヨス)の子どもたちによる「開かれた合奏団」が10月下旬に来日することが決まり、準備中であるとお伝えしました。
(前回の記事はこちら 麗水市の紹介もしています)

今回は「開かれた合奏団」のこれまでについて、ご紹介したいと思います。

麗水市には、光武洞 山村町というタルトンネ(貧しい地域)が存在し、その地域では、職を失った人、病気を患っている人、お年寄り、そして子ども達がともに貧しい環境の中で暮らしています。

1991年、そのタルトンネに、恵まれない子どもたちのための空間ができました。韓国では恵まれない児童を保護するための「地域児童センター」が2003年に法制化され、現在、全国におよそ2000か所設立されています。
光武洞でも、親や周囲の環境から保護されていない子どもたちのために、「子どもたちの希望を育てる場所」という使命感を持って、子どもたちの食事の問題や心の悩みなど、さまざまな問題などに取り組むために地域児童センターが設立され、現在は「開かれた地域児童センター」という名前で活動しています。
このセンターの特長は、地域の子どもたちが、厳しい環境で育つがゆえに機会をもてない多様な文化経験をできるように努力してきたことです。

2003 年、地域児童センターでは、子どもたちに楽器と音楽を通して希望を与えようと「開かれた演奏会」を企画しました。貧しい環境で、バイオリン、チェロ、フ ルートなどの楽器の演奏をする経験は想像もしていませんでした。周囲の大人も、この子どもたちに本当にできるのかと思っていました。
読めない楽譜を前に諦めようとした子どももいました。思うように演奏ができない時もありました。

そんな子どもたちを諦めずに応援してきたのは、チョン・ハンス牧師です。

実はチョン・ハンス牧師は最年長の団員でもあります。そして、団長兼団員として、子どもたちと一緒に、自らもチェロの練習に励んでいます。彼にとってチェロは初めての挑戦です。

「練習しろ、練習しろ、といくら言っても子どもたちが付いてこないんです。でも、ある時チェロを一人で練習していたら、それを見ていた子どもたちが、自然に練習を始めるようになりました。
諦めそうになる子どもたちに口で言うのではなく、先ず自分が挑戦してみせ、一緒に楽器に取り組むことが大切だと気付きました」
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子どもたちと練習するチョン・ハンス牧師

そんな牧師の姿を見て、一緒に取り組む中で、子どもたちは、日々練習に励んできました。今まで合奏団を辞めたり、練習をサボったりしたことはありません。
そして、多くの方々の愛情と支援により楽器を購入し、また、ボランティアで専門家によるレッスンが受けられるようになりました。こうして、合奏団は少しずつ、少しずつ大きくなっていったのです。

それから7年、今でも未熟かもしれませんが、地域の病院、老人ホーム、お祭りなどで演奏ができるようになりました。そして、演奏を通じて自分たちが受けた多くの人の愛情に報いようとしています。

7年という長い年月の間、暗かった子どもたちの表情は少しずつ明るくなり始めました。そして、今まで持つことのなかった‘夢’も持ち始めました。
全国の地域児童センターのなかでも唯一の合奏団である「開かれた合奏団」は、韓国の他の地域の子どもたちにも希望を与える存在にもなっているのです。
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(次号に続く)

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