9月 132011
 

連続セミナー「韓国から学ぶ雇用開発と社会的企業」を7月4日、11日、20日に参議院議員会館の会議室で行いました。
2007年に施行された韓国の「社会的企業育成法」は今年の7月で4年を経過しましたが、アジアで初めての法律であるということや、日本でも社会的企業・社会的事業を推進する動きもあることなどもあって、近年特に関心が高まっています。そのことも反映してか、
3回のセミナーを通じて、のべ110名の方が参加して下さいました。
各回では、日本の取り組むべき課題を取り上げ、韓国から何を学べるかをゲストを招いて考えました。

 第1回 復興支援における雇用開発のあり方を韓国の社会的企業から学ぶ
     -持続可能な事業推進のための国と自治体の役割

  >第1回のレポートはこちら 

 第2回 復興における女性の支援-社会的企業の可能性を考える
  問題提起:「被災地の女性の生活と仕事の課題」 
  - 遠野 馨(NPO 法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島 理事長) 
  - 遠藤智子(東日本大震災女性支援ネットワーク 運営委員)
  コメント:「就労を通じた女性のエンパワーメント」
  - 堀内光子(文京学院大学大学院外国語学研究科 特別招聘教授)
  ファシリテータ:桔川純子

 第3回 地方都市の活性化と社会的企業
  報告: 「個性ある地域づくりから学ぶ
     ー移住したい地方都市NO.1 ホンソン郡、人権のまちづくり光州市」桔川純子
  コメント: 文京洙(立命館大学教授)
  ファシリテータ: 広石拓司

1回目の「社会的企業育成法」の概要や現時点までの成果を紹介しました。
2回目は、東北地方の復興過程の、特に女性の仕事づくりにおいて「社会的企業育成法」が参考になるという観点から、東北の現場からの現状報告と求められること、韓国の参考事例紹介を行いました。
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島理事長の遠野馨さんに被災地での現状をお話いただきました。震災後、特に福島は原発の被害もあり、雇用が深刻な問題になっています。中でも、もともとぎりぎりの生活をしてきた非正規雇用のシングルマザーの人たちは、解雇という窮状に立たされたうえ、これまで参加できてこなかった地域コミュニティにも入れず孤立化するなど、被災地でのさまざまな問題が提起されました。遠野さんの話をうけ、東日本震災女性支援ネットワークの遠藤智子さんは、今後復興基本法のなかに女性の視点を入れることの必要性や、韓国からヒントを得た「社会的企業」を活用することの有効性を主張されました。
そして、かつてILOの日本事務局長を務めたこともある堀内光子さんからは、きめ細かいニーズへの対応、生活と仕事を切り離さないサポートの重要性などを指摘がされました。
韓国の事例としては社会的企業の「All 利」「オーヨリ(OrganizationYori)」といったシングルマザーや外国人女性を活かし、仕事と生活を総合的にサポートしているものを紹介しました。

3回目は特徴のある地方都市での取り組みの事例を紹介しました。
清州(チョンジュ)市は、長年の市民活動の基盤を生かし、社会的企業を展開しています。これまで活動をしてきた人たちが、活動を持続可能にするために社会的企業に転換していき、その中で、今までやや距離のあった人たちも連携し、さらに地域活動が充実し始めています。
洪城(ホンソン)郡の取り組みは、生協の生産地としても有名で有機農業を軸に個性豊かなまちづくりをしています。単に農業生産だけでなく、世界的に評価の高いプルム農業高等学校や自然エネルギーなどに地域事業が広がっています。
完州(ワンジュ)郡は本サイトでも紹介したことがありますが、首長さんが日本から学び、短期間でコミュニティ・ビジネスを成長させました。
光州は人権のまちとして知られていますが、それをまちづくりにも活かしています。
これらの地域では、地域の戦略を明確にし、分野を超えたつながり、クラスターを形成しているところは日本の地域づくりにも参考になるでしょう。

近年、さまざまな分野で韓国が政策的に進んでいるものがあるという声を耳にします。3回のセミナーを通じて、韓国から何が学べるのか、日本希望製作所としても提言をまとめました。当日の資料はホームページからご覧いただけますので、ぜひご一読下さい。

なお、3回のセミナーの詳細については、9月下旬発刊のブックレット「韓国から学ぶ雇用開発と社会的企業」(日本希望製作所 編)を通じてご報告します。
多くの皆さまにご覧いただき、ご意見を賜れれば幸いです。