6月 282012
 

生活クラブ生協は、東京を始め首都圏を中心に約35万人の組合員がいる生活協同組合で、生産者と協同して質の高い消費材(商品)を開発し組合員に供給することや、保育園や子育てひろばなどの子育ての支援や、グループホームなどの施設の建設や在宅ケアーの実施など高齢者福祉事業の展開、風車の建設など新しいエネルギーの取り組みなどを進めています。

東日本大震災は生活クラブの生産者にも大きな被害をもたらしました。私たちの主要な消費材(商品)である「わかめ」の生産者である重茂(おもえ)漁協(岩手県宮古市)も、大きな被害をうけました。漁協の組合員と職員の家屋90戸が津波とともに流失、50人が死亡・行方不明となりました。漁協所属の814隻の船も14隻を除いて全て流され、加工場も破壊されてしまい、全く何もなくなってしまったというのが実態でした。

全ての人が茫然自失の状態の中で震災直後に重茂漁協が打ち出した方針は、582人の組合員全員を漁協が臨時雇用し仕事を協同で行なう、船も協同利用、賃金も公平に分け合うというものでした。私たち生活クラブの役職員も漁協のこの方針を知ったときは、ほんとに驚きました。ほとんどの施設が破壊され、船もなくし、これから事業の再生にどれだけの時間と資金が必要かを考え方たら気が遠くなるような状況の時に、このような決断ができるとは信じられませんでした。

この決断は、震災で船も家も失った漁師たちが重茂を離れていかないように、そして何よりも協同組合らしく自分たちの力で復興してみせるという強い決意だったと思います。

漁協は、まず船を手に入れることから始め、震災から2ヶ月後の5月には中古品を中心に80隻の船を手に入れ天然わかめ漁がはじめられるようになりました。夏にはウニ、昆布漁、11月にはアワビと少しづつではありますが、復旧が進んでいます。その間、加工施設なども徐々に復旧が進みました。

そして今年5月、生活クラブは、生活クラブの組合員の寄付によって造られた定置船を重茂漁協に寄贈しました。この船は重茂の人々と生活クラブ希望のシンボルとなってくれるものと信じます。

大震災と原発事故によって、日本社会は大きな転機を迎えています。この国が再生するためには何が必要か、重茂漁協の行動は大きな示唆を与えてくれています。協同組合は希望を生み出す力をもっていることを心に刻み、運動を進めていきたいと思います。

村上彰一(生活クラブ東京専務理事/NPO法人日本希望製作所運営委員)