8月 012012
 


去る6月18日から20日まで、韓国・慶尚南道の南海(ナメ)郡で第1回アジア持続可能な観光南海国際大会が行われました。35名の日本人参加者を含む、日韓のグリーンツーリズム実践者約100名が、会場となった南海郡西面(ソミョン)にある南海スポーツパークホテルに一堂に会しました。

3日間の大会の様子とその意義を伝える地元・南海新聞の記事を紹介します。

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持続可能な観光・善良な観光、南海が担う
「第1回アジア持続可能な観光国際大会」南海で開催

2012年06月25日(月)
南海新聞 キム・ミスク

慶尚南道・南海は、海洋生態が保全された302kmもの美しい海岸線を有している。それだけでなく、閑麗(ハルリョ)海上国立公園地域の森と海は世界的な観光資源であると言っても過言ではない。だが、南海は自然資源について、開発と保存の間で答えを見出せずにいる。

南海郡は、去る6月18日から20日(2泊3日)まで行われた第1回アジア持続可能な観光南海国際大会を開催することでその答えを出すことを試みた。

第1回アジア持続可能な観光南海国際大会の後援は、南海郡、安城(アンソン)郡、麟蹄(インジェ)郡、日本の国際交流基金ソウル文化センター、NPO法人日本希望製作所。主催は持続可能な観光ネットワーク、南海郡生態観光協議会、日本のグリーンツーリズム・ネットワークであった。今大会は「アジアの公正観光活性化のための国際交流」というテーマにより我が国で最初に開催された。

グリーンツーリズム・ネットワークの青木辰司代表が、「日本では20年余り前から生態観光(グリーンツーリズム)を実践しており、韓国は10年ほど前から生態観光の基礎づくりが行われた。今大会を通して両国間の生態観光政策と実践についての中央政府、地方自治体、民間団体の間の交流が活発になることを期待している。今大会が気候変動の時代を生きていく世界市民の実践を引き出す契機になれば良い」「持続可能な観光というのは、10万人が一度来る観光より千人が10回来て10日間泊まって行くような観光をいう。公正観光は、地域住民と観光客が共に交流する観光を意味する。したがって、私たちは持続可能な観光と公正観光により、観光産業の主体から押し出されてしまっている地域住民を中心に据えなければならない。地域住民が生態環境を利用し保全してこそ、南海観光産業のビジョンが見えるだろう」と話した。

我が国の観光パラダイムも「賢明な利用」へと少しずつ変化してきている。このような折に南海郡が「アジア持続可能な観光南海国際大会」を開催したことは、生態観光のリードする役割を果たす可能性を見出すための良い機会であった。

現在、我が国では南海郡、麟蹄郡、安城郡が生態観光を模範的に実施しており、南海郡は17箇所の体験村の運営に成功している。

今回、大会参加者たちは、尚州面(サンジュミョン)トゥモ村<海カヤック>、南面(ナンミョン)ホンヒョン村<伝統漁‘石防簾’>、雪川面(ソルチョンミョン)ワンジ村<イカダ・釣り>、昌善面(チャンソンミョン)シンフン村<森林生態体験>といった体験マウルに滞在し、生態観光を実体験した。大会最終日の20日には、東北アジア農山漁村交流および活性化のための韓日事例、環境保全観光とマウル経済の活性化、ガイドライン作成など多様なテーマについて討論することで日程を終えた。

討論では
▲観光、地域、環境の三兎をどのように得るか。
▲生態観光の意義は、自然を敬うことから出発しよう。
▲地域経済活性化のための地域基盤となる旅行社を作ろう。
▲観光客の量的な拡張より誠意ある質的観光成長に重点をおこう。
▲行政依存型でない村と企業の連携による祭の活性化。
▲地域の特色をうまく活かした観光商品の開発。
▲なぜ私たちは公正観光と善良な旅行を行うべきなのか。
▲持続可能なネットワークの形成
などといった多様な意見が出された。

90人余りが参加した今大会は、南海郡を訪問する観光客に住民たちと交流したり、生きた観光を体験するという可能性を提供した。また、生態環境の保全を兼ねた善良な観光プログラムによって南海の観光産業に新しい活力を与えることが期待できる。

今まで韓国の観光は観光業者が観光客を集め、該当地域だけ訪問して地域住民は観光産業の主体から外されていた。数多くの観光客が南海を訪問するが、観光で得た利益が地域住民に均等に還元されないのが現実だ。すでに日本やフィリピン、タイなどの国では‘公正観光’や‘善良な旅行’といった名称で、地域住民が作成したプログラムによって民宿に泊まりながら住民たちと交流する生きた観光を実施している。

私たちは持続可能な観光、公正観光、コミュニティ・ビジネス、エコ/グリーンツーリズムといった用語にあまりなじみがない。だが、生態観光リーダー養成教育を通じて、自然の大切さと同時に自然を優しく活用できる方策を真剣に考えなければならない。特に、天から授かった自然景観に恵まれた南海は、我が国の自然生態観光をリードする求心力となり、生態観光リーダー養成にも積極的な努力をしていくべきだろう。

今回の国際大会を通して、地域住民が参加する公正観光、善良な旅行によって自然が生きている裕福な南海を夢見よう。

原文:http://www.namhaean.or.kr/news/articleView.html?idxno=7096

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今回、九州をはじめ東北、関東甲信越、中部地方など全国各地のグリーンツーリズム実践者たちが長旅ににもかかわらず遠く南海の地まで足を運び、韓国伝統芸能のパンソリが披露されるなど、華やかな雰囲気の開会行事に引き続き、日韓を代表するグリーンツーリズムの研究・実践者の講演と討論に参加しました。

また、日韓の各地域における実践事例についての発表では、阿蘇山の南に位置する熊本県高森町の草村大成町長が同町のグリーンツーリズムを推進してきた経験から、最近の観光政策の在り方やスタイルの変化に伴い「官」の役割も見直されるべきであると報告し、韓国の参加者たちから「持続可能な町長」と人気を博しました。

訪問する側と受け入れ側双方の利益が公正となるような観光(フェア・ツーリズム)の普及とアジアの公正観光の活性化のための国際交流を目的とする本大会は、屋内で議論するだけでなく体験プログラムも充実しており、南海自慢の地域資源であるダレンイ田(棚田)や韓国南部で一番の名山とされる錦山(クムサン)への観光プログラムに続き、4か所の体験村に分かれて筏に乗ってのタコ漁や干潟であさりやカニを採ったり、稚魚の放流やカヤックを体験したところもありました。

そして、一緒に自然体験をしたことによって言葉の壁はあってもすっかり打ち解けた日韓の参加者たちは、これからも実践者同士で相互交流と連携を図っていくことを確認しました。特に、20年以上も前から農村体験などに取り組んでいる日本の参加者の話に韓国の実践者たちは熱心に耳を傾け、「日本からのすばらしい民間大使の話に感動した」という感想も聞かれました。「人」を何よりも重視し、もてなしの心で訪問者と接する、量ではなく質の高い持続可能な観光を追求することに一同共感したようでした。

大会最終日に発表された大会共同宣言はこちらをご覧ください。