8月 022012
 


エンパブリック・日本希望製作所編
『まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ
―ソンミサンマウルの実践から学ぶ』

(ソーシャルデザイン・ブックレット)
発行:特定非営利活動法人日本希望製作所
1000円+税

世界一低い山、韓国で最も(?)有名な山、ソンミサン。

ソンミサンはソウル市の中心部麻浦(マッポ)区にある小さな丘だ。まわりはなんの変哲もない住宅地。古い共同住宅も残る忘れられたような街並みだ。それが今やソウル市まちづくりの震源地である。外観は変わらないが、中ではまちづくりのアイディアが沸騰している。パク・ウォンスンソウル市長もやってきて「ソンミサン村(マウル)」のリーダーの一人、ユ・チャンボクさんと話し込んだ。

そのユ・チャンボクさんの来日時の講演に、ソンミサンマウルの歴史、意味を盛り込み、次々と起こる「起業」を分析した本がこの『まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ』である。ソンミサンマウルを体系的に紹介した初めての日本語の本である。この本にはソンミサンマウルの紹介だけでなく、その動きに触発されて、日本での活動にどう活かしていったらよいかという論考も含まれている。交流によって、ソンミサンマウルが日本でも増殖する気配だ。

実際にこの有名になったソンミサンの麓(道路からすぐ)に立ってみると困惑する。なにも変わったものがないのだ。有名な建築家のガラスの建物なんかないし、大きな建物など数えるくらい。これがあの有名なコミュニティ・カフェ、これがあの有名なコミュニティ・レストラン、これがあの有名な代案学校、などという道しるべも標識もなんにもない。ユさんの劇場だって地下で、探し当てるのにさえ一苦労。でも当然ではないか。1994年、移り住んできた世帯の共同保育から始まったソンミサンマウルのまちづくりは、必要に応じて作り、必要の応じて闘い、必要に応じて言葉で表現されてきたものであって、「物語」が形成され、コミュニティに溶け込んで透明になり、外からはどんどん見えなくなっているのだ。

それに気づいた私たちは、今年の夏、見えないまちづくりを現場で体験するツアーを考えついた。

もし可能なら『まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ』を読んでいただきたい。それは、ソンミサンマウルのまちづくりの物語を再現した本だからだ。それともう一つ。採録されているユ・チャンボクさんの講演の語り口を楽しんで欲しい。まちづくりのしなやかな個性を感じていただけるはずだ。

今回、ユさんに時間をとっていただいて、ディスカッションを計画している。

参加のご連絡と『まちの起業がどんどん生まれるコミュニティ』へのお問い合わせは、hopemaker@kibounotane.org まで。

(菅原)