9月 012012
 


韓国南西部最大の都市である光州は、1980年代に軍事独裁政権に敢然と立ち向かった民主化運動の聖地として知られていますが、30年余りを経た現在でもその伝統は受け継がれており、社会参加への意識が高く、よりよい地域づくりに情熱を傾ける市民が多くいます。今、光州の市民たちはどのような活動に取り組んでいるのかについて、7月に協同組合の視察で来日された(社)光州NGO市民財団のソ・ジョンフンNGOセンター長にお話しを伺いました。

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1980年に民衆抗争がおきた都市・光州は民主化のシンボルであり、政治意識が強いところです。2年に一度開かれる光州ビエンナーレには世界中から美術愛好家が集まるなど、「光の都市」として様々な事業をやっていますが、経済的自立度が低いという側面があります。

5.18抗争以降は、既存の社会運動に労働運動、農民運動、学生運動が合流する形で民衆抗争の真相究明を中心に強力な反政府闘争を展開してきました。2011年現在571の市民団体があり、うち265団体が公益団体となっています。これらの団体の活動をより活性化させローカル・ガバナンスのモデルとなるように、地方自治体、市民社会、企業が共同で2009年に設立したのが光州NGO市民財団です。地域のNGOを支援し、公益的な市民活動を促進させるための事業を実施する場としてNGOセンターが開設されました。形態は社団法人で、NGOセンターが財団の事務局の役割を担っており、将来的な自立を前提に光州広域市が場所を無償提供して運営に必要な予算を支出している他、国からの委託事業に対する補助金や会員団体の会費により財源を賄っています。

光州NGO市民財団は大きく分けて次の5つの領域で事業を行っています。
1.公益的市民活動支援
・ 市民による各種セミナー、討論会、ワークショップなど交流とネットワーキングのためのスペース提供
・ まちの自治活性化のための住民教育、市民リーダーの育成、協同組合アカデミーを通じたコミュニティ・コーディネーターの養成など
2.地域ネットワークとガバナンスの活性化
・ 市民と自治体、企業、NGOの間の媒介者の役割を果たしながら、光州共同体円卓会議、官民合同政策ワークショップなどを開催

3.社会的経済活動促進
・ まちの会社、コミュニテイ・ビジネス・ネットワーク、協同組合法委託教育、青年創業支援など、社会的経済ネットワークのインキュベイティングや多様な領域の社会的経済の中間支援活動
4.情報センター機能
・ 国内外の市民活動情報の収集、研究、調査等。ホームページを通じたコンテンツサービス、ニュースレター、閲覧サービス等。
5.地域財団運動
・ アメリカのコミュニティ財団を研究し、寄付文化の普及をはかる

NGO間のコミュニケーションのみならず、企業の社会貢献や市民のNGO活動への参与を促すなど、地域ネットワークとガバナンスの要として市民・NGO・自治体・企業を媒介する役割を担っています。また、2012年には創造マウル推進戦略を打ち立て、まちづくりの先進事例の視察・見学なども実施、94の洞にそれぞれ一人ずつ活動家を育成したり、歴史を紐解きながらのストーリーテリングの事業を通じて地域資源の発掘・形成を目指しています。

まちづくりの歴史が浅く、市民が政府に敵対してきたという歴史があるため、市民が官の支援を肯定的に受けることができるようにしていくための中間支援組織の役割は重要となっています。政府から受託した「社会的企業統合支援センター」では、光州広域市の認証社会的企業27社と予備社会的企業62社、まち企業24社を支援管理およびコンサルティングを行っています。

また、「協同組合基本法」が今年12月に施行されれば、地域の中に新たな共同体が形成され、地域経済に大きく貢献することが期待されます。協同組合を普及・支援することにも積極的に参画していき、まちの再生や生活経済の促進を図っていきます。特に、光州にはそれを達成させるための基盤があるので、「協同組合の都市」として地域を活性化させることができるようにするためにも、国や市とのコミュニケーションを円滑にする光州NGO市民財団の役割は今後も重要性を増していくでしょう。基本法の導入に伴い、社会的企業を協同組合の法人格に変換させていくことが今後の大きなテーマとなりそうです。

中央政府が社会的企業や協同組合に力を入れる目的は雇用の創出ですが、政策として行っていることの副作用が心配されます。光州NGO市民財団としては、新自由主義のオルタナティブとして社会的経済をつくる運動として取り組んでおり、住民と協力をしながら作り上げていくことを念頭に成果をあげていきたいと考えています。

2012.7.18 Hopemaker’s Seminar「光州における市民活動の現在―まちづくり・社会的企業・協同組合への取り組みについて聞く」<案内>