5月 232013
 

5月18日の朝、ツアー参加者一行は光州中心部から北東に少し離れた望月洞(マンウォルドン)にある国立5.18民主墓地に向かいました。1980年5月の光州民衆抗争で犠牲になった市民を追悼する政府主催の式典に出席するためです。毎年行われているとはいえ、保守政権が主催する式典のためか警備がとても厳しく、招待状を持参し、事前に登録されたパスポート情報との照合ができなければ入場ができません。

今年は「あなたのための行進曲」という光州民主化運動を象徴する歌が式典でどう扱われるかについて論議が巻き起こりました。光州側の記念行事委員会は、同曲を斉唱することを政府に要請していましたが、「労働団体などが国歌の代わりに歌う歌で、拳を振りながら斉唱するのは不適切」などとして、合唱団に歌わせることを決めたため、5・18負傷者の会、拘束負傷者の会、遺族会や市民団体などが反発して出席をボイコットしました。

もう一つの関心事は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が式典に出席するのかどうかという点。李明博前大統領は2009年以降式典に姿を見せなかったため、2期連続で保守政権となりパク新大統領がどのような対応をするのかが注目されていました。

会場に到着すると、「民主の門」の前で白い韓服を着たハルモニたちが、「あなたのための行進曲」を歌いながら座りこんでいました。そして入り口付近で配布されたのが、紙でできた大極旗とその中に挿まれていた「あなたのための行進曲」の楽譜でした。太極旗が配られた理由は、拳を振る代わりに国旗を振って歌うようにさせるためだったようです。

招待者の本人確認、手荷物検査など厳重な警備体制の中、会場に入ると程なくして式典が開会、国家斉唱、黙祷などを経て、朴槿恵大統領が墓地の後方から入場、短い式辞を述べて、合唱団(当初、光州合唱団に出演要請があったようですが、同合唱団がそれを拒否したため代わりに仁川合唱団が出演することになったとのこと)が「あなたのための行進曲」を歌い終えると、おもむろに閉会が宣言され、30分もたたないうちに式典は終わりました。式典の途中で抗議の叫び声をあげた参加者を取り押さえるため、一斉に動き出したSPの多さにも唖然とさせられました。あまりに呆気なく式典が終了してしまったためか、形だけ取り繕ったかのような政府主催の式典に悔しさのあまり涙する市民もいたようです。

朴大統領記念辞


参列したスタディツアー参加者からは、「今回の旅で一番印象的だったのは、記念式典の緊張した空気を実感できたことです」「何といっても記念式典の歌が記憶に残ります。参加できてよかったです」といった感想が寄せられました。

1980年5月の抗争で犠牲となった市民の遺体は清掃車に乗せられて望月洞の旧墓地に向かい、17年後の1997年に新たに造成された国立5.18民主墓地に移葬されました。市民の多くはこの国立墓地ではなく、すぐ横にある旧墓地で行われる追悼集会に毎年参加するということでした。遺族をはじめとする光州市民が抱え続ける悲痛な思いと、政府対応との温度差が肌で感じられた5.18記念式典への参加でした。

墓地までの道に掲げられた無数の追悼メッセージ