11月 262013
 

パルシステム連合会からの派遣で、韓国ソウル市主催「グローバル社会的経済フォーラム2013」とiCOOP主催国際フォーラムに行ってきました。

「グローバル社会的経済フォーラム2013」はソウル市主催で11月5日(予備セッション・特別招待者のみ)・6日・7日に開催されました。同フォーラムでは、社会的経済を推進するために情報を共有し、グローバルなネットワークづくりに向けた課題が検討され、その実現にむけた「ソウル宣言」が採択されました。社会的経済国際フォーラムの参加団体及び検討された内容は「ソウル宣言」に盛り込まれています。こちらから、参加型システム研究所の丸山茂樹さんの仮訳を是非お読みください。

フォーラムの全体会では、パク市長が新自由主義・金融資本主義による社会的格差、地域間格差が広がる中、脆弱階層(社会的弱者)あるいは地方経済を再生・活性化するための仕事づくりや協同のための仕組みづくりの大切さとソウル市の政策について力強く述べられ、参加都市代表からは挨拶(日本では京都市)と事例報告が行われました。「ソウル宣言」をこのフォーラムで採択するために、インターネットを通した国際会議でかなりやり取りしたものが公開の円卓会議の場で最終調整されました。言語の異なる中でのやり取りと立場の違いもあり(州と市、民間NPO)、最後まで一致するのが難しい雰囲気でしたが、K2インターナショナル・グループ日本代表からの真摯な発言もあり、ひとまず採択され、一般参加者も含めて全体で情報を共有しました。

招待参加者は社会的経済を積極的に推進している地方自治体の他、社会的事業団体(NPOや協同組合)、研究者などで分科会も開催しました。分科会は25あり、活動紹介の他にワークショップなども織り交ぜて行われ、参加者の構成に配慮し韓国語と、イタリア語か英語か日本語かいずれかの同時通訳がつきました。

一連の流れの中でソウル市の職員とボランティア(韓国だけではない)の積極的な働きが印象的で、招待者200人のネットワーク・パーティが社会的経済推進センターで行われた一方、若いボランティア同士の交流を目的とした集いも同時平行で行われ、パク市長は社会的経済を推進する上で連帯していく場づくりの他、若者の人材育成も社会的経済推進に欠かせないと考えているのだなという印象を持ちました。

韓国では昨年の協同組合基本法施行から社会的協同組合が急速に増加しており、そうした社会的企業、社会的協同組合の活動を紹介する展示ブースもあり、様々な団体が活動の紹介や生産物を販売していました。

展示ブースの一つ、「協同組合ゲーム」です。ボードゲームでサイコロを振って進んでいき、協同組合の設立で“あがり”です。


また、ソウル市主催国際フォーラムと連動して、iCOOP生協が同フォーラムで分科会を企画し、独自でも国際フォーラムを実施しました。
iCOOP生協は、消費者と生産者が力を合わせた「倫理的消費と生産」を進め、韓米FTAで農業などが壊滅的な影響を受けている中で、自給率の向上を方針に地産地消を実践しています。iCOOP生協グループは組合員数17万人で約3500億ウォンの事業高、市民社会への貢献やフェアトレードを重視し、生産者と消費者による価格安定基金も設けています。韓国世帯人口の1%を組織すること、生産と産業、グリーンツーリズム、日常生活まで含んだクラスターの形成をめざしており、そのモデル地域が2つある成長著しい生協グループです。協同組合教育による人材育成にも力を入れており、組合員加入は「協同組合の定義と原則」を学んでからになります。

ソウル市国際フォーラムのiCOOP生協セッションでは300人の参加を得ました。内容は「協同組合間の活性化のためのシステムづくり」で、イタリアのレガコープとiCOOP消費者活動連合会長の報告、日本生協連青竹執行役員などでパネルディスカッションが行われました。人口の偏在による地域間格差の拡大など日本と韓国の社会状況が似通っていることがよく理解できました。もう一つはiCOOP生協主催の国際フォーラムで8日に開催、iCOOP関係者、韓国と日本の研究者、マスメディアなど120人の参加がありました。テーマは「地域活性化のための協同組合の役割」で過疎地における取り組み事例としてiCOOP認証センター会長と福井県立大学北川教授が報告しました。私はパネリストの一人として、人口が偏在している都市が農漁林生産物取引と6次産業化による地域経済の活性化と仕事づくり、資源循環型地域づくりを都市型地域生協であるパルシステムを事例に報告しました。

全体を通じての感想になりますが、社会的経済推進によって脆弱層の救済や社会の公正を行おうとすることと韓国ソウル市が社会的経済推進のハブとなる宣言をしたところにパク市長の強い意志を感じました。それと共にこうした国際会議における日本の印象が薄かったのがとても残念でした。

文: 志波早苗(日本希望製作所 監事)