11月 272013
 

今のやり方ではいけない

◎ 長い間、企画専門家を探していた忠清南道の社会的企業は、大企業の工場に勤務していた人を採用できて喜んでいたが、その人は一ヶ月も経たないうちに社会的企業が合わないと言って辞めてしまった。

◎ IT関連青年社会的企業家が簡単ではないソーシャル・ミッションを克服しようと、動議付けのため毎週ミッション共有会をもち、社会的企業としてのアイデンティティを明確にしようとしたが、毎回新入社員の教育をどうすればいいのかで悩んでいる。

◎ 脆弱階層雇用型社会的企業は内部専門性の強化のために業界最高の専門家をチーム長として受け入れたが、ソーシャル・ミッションについての共感と社会的企業の特性を理解出来ず、組織統合の困難に直面した。これを克服するために、一年以上の期間、毎週一時間以上代表面談を通して社会的価値について討論を重ねた。

 上記の事例でわかるように社会的経済の人材を探すのは極めて難しく、育成には更に時間がかかる。社会的経済はすべてのショーシャル・イノベーション分野の仕事がそうであるように、セクター間の統合と融合、協働を必要としている。第1・2・3セクターで求められる力量が統合的に要求される。ソーシャル・ミッションに対する情熱に満ち、絶え間ない革新的なマインドと実行力を兼ね備えなければならない。他方、セクター間の統合のためにセクターを行き来するコミュニケーション能力が必要であり、顧客と受益者である組合員を常に同時に考慮しなければならない。

 結局、共同体の利益を優先する心と、営利と非営利の力量を同時に兼ね備えた領域の特性、脆弱な補償体系、協働と連帯といった社会的価値より競争を最優先する社会構造、営利と非営利間の壁が大きいといった観点から考えると、人材探しは難しく、育成に非常に時間がかかる。

 これを乗り越えるために、生協などいくつかの個々の組織内では、内部の教育システムを持って組合員教育を継続しており、自活も体系化された教育をしているが、期待ほどの成果を上げていると見るのは難しい。ほとんどの組織では、適正な人材育成のための財源と内部人材育成の専門家が存在するケースはほとんどなく、社会的経済の人材育成と採用のための一般的なシステム自体ないのが現実である。

 政府や自治体、企業の環境形成支援事業でも、組織力を育てるためのサポートを見つけにくい。多くのアカデミーなどを通じた育成策が実行されているが、創業準備期の起業家育成や、市民認識の改善にとどまっている。このような方法ではいけない。

 但し、最近協同組合の創業支援アカデミーが拡大しており、カイスト社会的起業家MBAプログラムなどの社会的企業家育成のための長期支援コース開設、ソウル市社会的経済支援センターで官民人材育成企画団を通じて推進している社会的経済人材育成事業、社会的企業振興院の専門家養成課程などの新しい実験が続けられており、この結果を見守る必要がある。

 人材育成のための個々の組織の需要は高い。最近トングラミ財団のローカル・チェンジ・プロジェクトを通じて、地域型社会的企業の組織力の強化を支援する事業を推進中だが、100社をはるかに越える社会的企業が参加しているという現状は、この事業に対する社会的需要を物語っている。

 しかし、依然として政府や自治体の政策を見ると、人材育成はまだ関心外に留まっている。公共市場の拡大や事業費支援の方向、社会的金融、地域の環境づくり事業などの事業費が大きく、現場の利害関係がある政策については官民の議論が活発であるが、人材育成については予算も少なく、それを推進しようという意志も強くない。しっかりとした人材育成政策に関する研究を見つけるのも難しいし、専門家もいない。何よりも、個々の組織でこの問題を解決することができる余力がない状況で明らかなことは、今のやり方では駄目で、何か新しい実験と変化が推進されなければならないということである。

今すぐに始めなければならないこと

1.オピニオンリーダーが1人1社会的経済学習組織を運営し成果を共有しよう

 協同組合の200年の歴史の中で私たちが学べる重要な教訓の一つが、まさに学習組織である。すべての歴史的出発点には学校があり、学習会があった。社会的経済の多くのオピニオンリーダーの方々にご提案申し上げる。社会的経済「運動」で悩む青年もしくは創業を考えている彼らのための学習会を運営し、成果を共有できればと思う。

 四川省のある地域活動家は、昨年、長い間社会的経済を勉強した成果物などを同じ道を歩む同士たちに無料で分け与えた。環境づくりがうまくいっている地域には、必ず活発な学習会がある。最近の若者たちの自主的勉強会もいろんな場所で自然発生しており、良いメンターやコーディネーターが切実に必要である。時間がたくさんかかり、会議を運営することに苦労は多いが、今後どれくらい多くの学習会が出来るかが社会的経済の環境の質的変化の土台となる。現場の生々しい悩みや理論的な深みを備えたオピニオンリーダーたちによるボランティアベースの学習組織運営は、政府への高い依存度を持っている社会的経済環境を根本的に変化させる出発点になる。

2.社会的経済企業は学習企業でなければならない

 社会的企業家の「情熱大学」では、毎朝8時から10時までは業務の延長として本を読む。経営学、人文学、社会科学など様々な種類の本を一緒に読みながら、一日を始める。数多くの困難が存在しているが、私はこの社会的企業の持続可能性を一度も疑ったことがない。

 社会的経済企業は学習企業でなければならない。物的資源、金融資源が不足している社会的経済企業で組織を革新するための唯一の方法は、人と組織の能力を育てることだ。カナダの労働組合では、組合員教育時に集団講義形式の教育をなくしてしまったという。教育の効果が非常に低く、集団講義をするよりむしろ本を読むのがより効果的であると判断し、20年をかけて体験型の教育システムに転換させたという。

 世界的なアニメーション監督である宮崎駿の最近のインタビューを見ると、創造性の源泉は、読書や様々な体験だと断言した。あなたの映画を50回見た人もいるという質問に対し、1度だけ見て、他の49回は他のことをすべきだったと話した。組織の能力をどのように育てるかについて悩むなら、何よりも組織をどのように学習企業化するかを今すぐ検討すべきだと思う。

3.地域の人材育成システムを構築しなければならない

 教育は、講義室で行われるのではなく、現場で行われるものである。地域現場で発生する社会的必要性を解決するために立ち上がった社会的起業家や協同組合員が、自分たちの問題を自ら解決する過程で最も多くの教育が行われる。そのためには地域の人材育成システムを構築しなければならない。地域社会のアジェンダと社会的経済をつなぐためには、地域を革新し、地域内で問題を解決しようとする人々の中で教育が行われるべきである。

 内部能力が不足している部分については、外部リソースとの連携が必要であるが、地域をよく知り訓練された講師陣や、個々の地域の組織内で解決できない育成の課題を環境形成の中で共に解決していく経験を通して、地域の特性に合った人材育成システムを構築しなければならない。

4.最後に、政策の最優先順位に人材育成を据えるべきである

 制度や環境が100キロの速度で変化しているとしたら、人材育成の速度は半分にも満たないようだ。営利企業の創業で最も危険な要因がEasy Moneyであるように、政府の政策が人々の先を行く、この状況は非常に危険である。これを乗り越えるためには、社会的経済政策の最優先に人を育てることを据えるべきである。常に重要な話題として取り上げられるが、深みのある政策論議をすることも難しく、成果創出に時間がかかる現実の中で予算配分も保守的に策定されている。

 多くの政策事業の成果が個々の組織の財務業績や雇用で評価されているが、確かなことは、すべての事業で人材育成を最優先で評価するようにすれば、より大きな変化と成果が現われるだろう。勿論、このような政策変化を作り出すために、民間内部の議論と共感が先行しなければならない。組織の生存よりも、多くの社会的経済に関心を持って働いている人をどのように育てるか、立派な社会的企業家、協同組合員のリーダーをどのように育てて守り抜くか、ソーシャル・イノベーションを夢見る青年たちが自ら自分の問題を解決できるようにするためにはどのように能力と情熱を育てるかを政策の最優先に据える知恵が必要である。

 結局、私たちが夢見る社会的経済というものが、究極的にはさらに人が尊重される経済共同体を作り、人間関係をより人間らしくすることだとすれば、何よりも人々をどのように育てるかをまず一緒に悩むべきであろう。

文: チョン・サンフン(社会的経済センター・センター長)

原文(韓国語): http://www.makehope.org/4764