6月 262014
 

〔イ・テグン コラム〕 朴元淳(パク・ウォンスン)・曺喜昖(チョ・ヒヨン)のソウルモデルを作ろう

朴槿恵(パク・クネ)大統領は、地に落ちた支持率を内閣改造と青瓦台の改編によって引き上げ、「国家改造」を旗印にして政局の主導権を握ろうとするだろう。与党セヌリ党は党代表選出で活力を取り戻そうとするだろう。では野党は? 統合、セウォル号沈没事故審判論、首相候補の辞退、野党勢力統一化などの有利な条件が揃いながら、6月4日の地方選挙で勝てなかった野党。1年3か月のあいだ朴槿恵政権が失政を重ねても、それに替わる存在として認められなかった野党はどんな対策を打ち出しただろうか。無策だ。

仮に極右保守のカラーが強い文昌克(ムン・チャングク)の首相指名が、あるいは予告された内閣改造・青瓦台改編や国政改革が失敗し、与党内がゴタゴタするような幸運が再び訪れたとしても、新政治民主連合の事情はそれほど変わらないだろう。文昌克の指名のような敵失では野党を再建できない。それを知ってか知らずか、野党はまたも朴大統領に追従している。嘆かわしい状況を見るにつけ、悲観主義ばかりが頭をもたげてくる。そこから目を反らして、別なところを眺めてみよう。目に飛び込んでくる場所、それはソウルだ。ソウル市民は市長、区長、市議会、教育長を、野党と進歩勢力に託した。ソウルでは野党と進歩勢力は多数党であり、政治を動かす与党である。ソウルでは朴槿恵政権をあてにしなくても、福祉・経済民主化の問題に直接取り組むことができるのだ。

この間、市場万能主義・物質主義・格差拡大によって瀕死の韓国社会を福祉・連帯・平等の共同体に変えようと、多くの努力が払われた。ヨーロッパモデルの導入にも悩んだ。市民社会や専門家集団は、代案に関する数多くの報告書や資料集を発行した。そうした努力によって、新たな共同体についての議論は活性化し、福祉が重要課題に浮上することになった。その価値観は、与野党を問わずマニフェストや政策に反映されもした。だが、それらは抽象的な理念であり、外国の事例であり、耳障りのいい言葉や文章だった。目で見て、手で触れるものではなく、それゆえ忘れられるのも早かった。そんなとき、市長、市議会、区長、教育長の相互協力のいかんによって、ソウルという生きた代案を示しうるチャンスが到来したのである。

朴元淳(パク・ウォンスン)市長はそのための準備が整っているだろうか。彼は些細なことも疎かにせず、意思疎通を図る能力に長けている。アイディアも豊富だ。だが朴元淳は行政官以上のものにならなければいけない。行政官とは、目の前の懸案を周知の手法で課題処理するものをいう。一方、政治家は、自ら目標を設定し、その目標に向かって市民が納得できるビジョンを備えた存在である。李明博(イ・ミョンバク)前大統領はソウル市長時代、行政官としては能力を発揮したが、優れた政治家にはなりえなかった。ソウルを社会の代案として提示することは、政治家の要素が求められる仕事なのだ。朴元淳はそこが足りない。彼は、昼食時間帯の食堂前駐車許可[訳注(1)] を自身最大の業績とよく胸を張っていた。彼のそうした成功事例は枚挙にいとまがない。

しかし、ソウルモデルはそうした小さなピースの集合体ではなく、一つの価値観を打ちだし、その価値観を中心にソウル全体を再構成した結果物のような、単一のイメージがなくてはならない。だとすれば、優先順位を決めることが必要だ。重要なこととさほど重要でないことに差をつけ、優先することと後回しにすることを区別し、集中すべきことには集中し、断念すべきことは断念しなければならない。

教育問題は注目度が高く、わずかな改善で大きな波及効果を得ることができる。金相坤(キム・サンゴン)教育長の無償給食[訳注(2)] が引き起こした、大きなうねりを考えればわかるだろう。曺喜昖(チョ・ヒヨン)教育長は多くを変えようと欲張る必要はない。確実に変えることが重要なのだ。韓国では教育改革一つ成功しただけでも、政治を担う資格が得られる。朴元淳・曺喜昖と区長は協力してトータルな統合計画を作成し、野党と進歩勢力は資源をソウルに集中させよう。新政治連合を変えることは難しい。だがソウルは変えられる。ソウルで朴槿恵の国に対抗するのだ。ソウルvs政府、朴元淳 vs 朴槿恵、いや、朴元淳・曺喜昖 vs 朴槿恵で競い合う構図を作ろう。

誰がより意思疎通を図っているか。誰がよりよい福祉を行うのか、誰がより格差を解消できるのか、誰が教育問題をより上手に解決するのかを競い合う。そう、朴槿恵政府が何をするかではなく、ソウルで何が起きるかに世間の注目を集めてみよう。

もし野党と進歩勢力に実力があるのなら、政権担当時にうまくやってやると先送りしたりせず、今、この場所でその力を見せてもらわなければ困る。全部でなくてもいい。巧者は線一本引くのにも、レンガ一つ積むのにも、刺繍の一針にもその腕前を見せるものだ。もしそうなったら、野党・進歩勢力に対する世の中の眼差しも変わってくるだろう。ソウルを変える実力を目にした市民は国も任せてくれるだろう。なぜソウルを政権ビジョンとして提示しないのだろうか。(京郷新聞 記事入力 2014年6月11日 21:20)

文:イ・テグン/京郷新聞 論説委員

訳注(1): ソウル市が2011年11月から実施した制度。経営が苦しく、駐車場を確保できない小規模零細飲食店の利用拡大を図るため、11時30分~13時30分の昼食時間帯は店舗前路上駐車を許可したもの。
訳注(2): 2009年、京幾道教育長に当選した金相坤氏が打ち出した公約。低所得層限定だった無償給食を小学校で全面実施するとした。これをきっかけに無償給食の実施は韓国全体で大きな論議となった。

原文(韓国語): [이대근칼럼]박원순・조희연의 서울 모델을 만들자
http://m.news.naver.com/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=004&oid=032&aid=0002488711

翻訳:コリチーム(小山内園子)