9月 172014
 

大阪市を歩いて

私は6月に大阪市にある大阪人権博物館、生野区のいくのオモニハッキョを訪れ、人権や差別について学び、大阪で暮らす在日外国人の生活している姿を少しだけですが知ることができました。

大阪人権博物館前にある韓国の伝統楽器を紹介する像


まず大阪人権博物館は、1985年に日本で初めて人権に関する博物館として開館されました。主な目的としては、人権に関する資料を中心に展示することにより、来館者の人権意識の伸長と啓発を促しています。

展示されている資料の中で、私が最も深い関心を寄せたのが2004年に作成された「部落青年のアイデンティティ」というテーマのDVDでした。このDVDは部落出身の若い男性と女性の二人が対談形式で、これまでに部落出身ということで受けた経験やそのことによる考え方の変容を語っていました。その中で女性は、友達に自分が部落出身であることを打ち明けたときの話をしていました。彼女は、仲良くなった友達がどのような反応をするのかが心配になりながらも勇気をだし話しました。友達の反応は「関係ないよ」と返してくれ、その後も以前と変わらない態度で接してくれたことについて、嬉しかったそうです。しかし、同時に「関係ない」という言葉に物足りなさを感じたそうです。彼女にとって部落出身を打ち明けたことはとても大きなことで、「関係ない」という一言では片付けてほしくはなく、いろんなことを含めてしっかりと受け止めてほしかった気持ちがあったそうです。この彼女の言葉を画面越しに聞いた私にも似たような経験があったため、彼女の言葉が深く印象に残っています。以前、ある友達が隠し事を打ち明けてくれたとき、私も「関係ない」という言葉を返しました。しかし、その友達も深く悩み、考えて打ち明けたはずです。私は決して浅く考えていたつもりはありませんが、そのことをより深く考えるべきであり、まだまだ不十分な考えで返事をしていたことに気づかされました。

どのような言葉で返すことが良いのか、未だにその答えは見つかっていません。ただ、どのようなときにおいても、相手の言葉の重みを理解する努力を惜しまず、深く考えるべきであると感じています。

続いて在日外国人が多く居住する生野区において、読み書きが得意でない在日一世のオモニ、ハルモニやニューカマーの方々が学習している、「いくのオモニハッキョ(オモニハッキョは、韓国語でお母さん学校)」を訪れました。夜の19時ごろから続々と教室に訪れ、彼女たちはレベル別に分かれ、学習していました。小説の文章の中で使用されている漢字の読み書きや意味を学習していました。彼女たちの大勢が昼間働いているにも関わらず、不真面目な人は一人もおらず、学習に対して笑顔で真剣に取り組んでいました。直接、見学させて頂いた私はこの姿に深く感動しました。もちろん、彼女らを教えている支援者の先生方も明るく、笑顔で教えていました。単に黙々と学習をするのではなく、学習者と先生たちには多くの笑顔が見られ、その姿には、一体感を感じることができました。

鶴橋商店街


学習とは、いつでも誰でも取り組めることをこのオモニハッキョで実感しつつ、そのための学習場所や支援者の方々が必要不可欠です。しかし、今年で37年目であるオモニハッキョが長く続けてこられているのには、学習者と支援者の方々の一体感と、何よりも笑顔が絶えない教室であることではないか、と思います。

文: 貝吹一成/東洋大学大学院生