12月 172014
 

最終日のGSEF設立総会2014年11月17日~19日にかけて,韓国ソウル市にて,「グローバル社会的経済フォーラム(Global Social Economy Forum)2014」(略称は「GSEF」(ジセッフ、と発音))が開催された。すでに2013年に、第一回GSEFが開催されており、社会的経済の現代的価値や原則、そしてグローバルに連帯し社会的経済を広めてゆくことを明記した「ソウル宣言」が採択されていた。その後はソウル宣言で謳った内容を現実のものとするために『グローバル社会的経済協議会』の創設が目指されていた。今回のGSEF2014は、同協議会の設立総会と記念フォーラムという二本柱で構成されていた。

・公式ウェブサイト: http://gsef2014.org/
・当日の様子や写真(GSEF事務局であった、ソウル社会的経済センターブログ・韓国語):
    http://sehub.blog.me/220191637687  他、記事多数。

 参加人数は約4000人で、韓国に続いて多かったのが日本からの参加者(合計110人)であった。(あまりに日本からの参加者が多いということで、日本語通訳もついていた。)参加者の層としては、世界各国の様々な社会的経済組織の実践家・研究者、社会的経済の推進に積極的な地方自治体、そして国連やILOなどの国際機関であった。実践家や研究者が国境を越えて集まり、様々な知見を共有するだけでも有意義であるが、そこに行政を積極的に絡め、現場との連携を強めようとする意図が明確に見えた。

GSEFmayorpark 3日間のプログラムはこちらに掲載されている。
 http://gsef2014.org/?act=m2_1

 全体の大まかな流れは次の通りであった。初日には若干の企画と、夜に招待客の晩餐会。2日目午前中に正式なオープニング・セッションと全体会。2日目午後から3日目にかけては多種多様な社会的経済組織や研究所等が主催した分科会。そして3日目夕方に、クロージング・セッションおよび社会的経済協議会の設立総会が開催され、閉幕となった。
 
 最終日の社会的経済協議会設立総会では、社会的経済の価値と原則や、同協議会の運営に関わる細かな事項(会員規約、予算管理、運営委員会や事務局の設置について等)が記された「グローバル社会的経済憲章」が採択された。この憲章は、草案段階で主要な参加者にメールで配信され、オンライン上での活発な議論を経て修正・改定を行い、最終版が作成されたようである。
 この憲章での主な決定事項として、①過去2年間はソウル市からの資金提供を基盤に開催してきたフォーラムを、今後は会員である各社会的経済組織や自治体からの会費などを中心に運営してゆく、②2年に一度、各国持ち回りでフォーラムを開催する、といったことが挙げられる。次回(2016年)はカナダのケベック州・モントリオール市にて開催、それに向けた運営委員会はソウル市に置くことになった。

 私見では、今後この協議会にどれだけの人・組織が参加するのか、どこまで継続するのかは未知数であるが、少なくとも一回限りのイベントで終わるのではなく、継続的に世界各国の社会的経済組織・行政・国際機関が連携するプラットフォームが形成されたことは特筆できる。今はまだ実感がわかないが、もしかすると今回の動きは、社会的経済が国境を越えて力を結集し躍進するきっかけとなる、歴史的な出来事といえるのでは…?と、胸が高鳴る。日本国内では「ソウル宣言の会」(http://www.seoulsengen.jp/)を中心に、今後に向けた動きが議論されている。

 その他、特筆すべき点を以下に列挙する。
GSEFcityhall
■運営形体について:昨年はソウル市が中心となって運営したようであるが、今年は機能を分割して独立した「組織委員会」を設けたという。運営資金の多くはソウル市から出ていたようだが、実際の運営は市から独立した別の委員会が行い、市民側の声がきちんと反映された会となっていたそうだ。また、事務局はソウル社会的経済センターが担った。筆者の知る限り、ここには非常に有能で多様な人材(特に若いスタッフ)が多くいる。自律的な組織がきちんと事務局を担い、細かなアジレジが丁寧に行われていたことで、今回の大規模なフォーラムが実現でき、また各国の関係者に向けた情報発信や経験の蓄積に向けた動きも可能となったのだろう。

■分科会について:分科会はまさに「多種多様」であり、まさに社会的経済の実態の豊かさを体現していた。労協や生協など、伝統的に「社会的経済」として捉えられてきた実践をテーマとするものもあれば、フェアトレードやシェアリング・エコノミー(※一つの車を数名で利用するカー・シェアリングや、地域の人びとが得意な事を教え合うなど、モノやスキルを分け合う取り組み)、都市農業、ソーシャル・インベストメント(社会的投資)など、比較的新しい実践も豊富に紹介されており、またそれらが社会的経済の中に積極的に位置づけられようとしている点が興味深かった。
 その他、国連やILOなどの国際機関による社会的連帯経済への取り組みの紹介や、社会的経済の実態を捉えるための理論を議論する分科会もあった。後者については、現在カナダとパリにあるカール・ポランニー研究所のアジア支部を、今度ソウルに設立するということで、ポランニーを下敷きにした議論が活発に行われた。

■日本の行政からのスピーチ:18日(二日目)のオープニング・セッションでは、日本から川崎市副市長が,同市における行政と民間の協働事例を紹介していた。事例自体は興味深いもので、また現場のNPO団体も一緒にフォーラムに参加していたことは素晴らしかったと思う。しかし、「社会的経済の実現」が、単なる「官民協働の推進」という認識にとどまっているのでは、とも感じた。ともあれまずは、行政側と社会的経済組織側が同じプラットフォームに立ったこと自体が重要な第一歩であるが、今後両者がより対話を深め、相互理解を進めてゆく必要性を強く感じた。なお、日本から参加した行政は他に、東京都世田谷区と京都府京丹後市であった。

19日のネットワーキング・パーティ■このフォーラム自体が,社会的経済の循環の実践の場となっていた。各種フェアトレード団体や社会的企業のお菓子や食事がふるまわれたのはもちろん,フォーラムでのすべての通訳は、通訳を専門とする通訳協同組合が行ったという。他,19日夜に開催された「ネットワーキングパーティー」では,音楽演奏やマジックショーをする協同組合が場を盛り上げた。2012年制定の協同組合基本法により,このようなユニークな協同組合の設立も多く見られるということである。

文: 今井迪代/明治大学大学院博士後期課程