1月 272015
 

売店のおばさんを“お母さん”と呼ぶ学生たち
先生と一緒に昼食、菓子を買ってあげる校長
【現場】ソウル地域初の高校社会的協同組合売店を開いたクムチョン(衿川)区 トクサン高校

「カレーをくれるというので来ました」

14日午後1時、ソウル市クムチョン(衿川)区トクサン高等学校の売店に学生が群がった。学生たちは、席に座ってカレーを口に運びながら「お母さん、ほんとに美味しい」、「お母さん、カレーにイカも入っているね」と言った。パク・ヨンインさん(44歳)は学生たちのご飯にカレーをよそった。「息子さんが来たのか」と記者がパクさんに尋ねると、首を横にふった。

この学校の生徒の保護者であるパクさんは、「昔の売店の雰囲気なら“売店のおばさん”と呼ぶんでしょうが、学生たちは“お母さん”と呼ぶんですよ」といいながら、「トクサン高校の売店は家族のような雰囲気」だと言った。この学校の教師たちも学生たちと一緒にカレーを食べた。キム・ホンソプ校長も売店を訪れた。30人分のカレーはたちまち売り切れになった。

2年生のジョン・スギョンさんは「以前の売店は、おやつを買うくらいで、テーブルに座っておしゃべりをするのも電子レンジを使うのも、売店のおばさんの顔色を伺わなければならなかった」と言い、「売店の雰囲気がほのぼのとして身近な感じに変わり、最近は売店でおにぎりやトッポキ、ブデチゲをもらいました」と話した。

売店が変わりはじめたのは、2013年11月に教師・保護者・学生が力を合わせて直接売店を運営するようになってからで、売店の収益を学生の福祉に使うために「トクサン享受社会的協同組合」を結成した。組合員たちが出した出資金に借りたお金を足して、最高入札額を出して売店の運営権を得た。

ソウルにある高校では初めて社会的協同組合の売店が誕生したのだ。社会的協同組合は、一般協同組合とは違い、収益が出ても組合員の懐に入るのではなく、公益のために利用するなど社会に還元しなければならない。

涙を浮かべながら「売店の運営権を譲歩してほしい」と言ったのだが・・・

トクサン高校には、難しい家庭事情を抱える学生が少なくない。また、高校選択制や自立型私立高校によってより深刻になった高校の序列化で、成績がよくない学生たちが増えた。去る2011年に教師たちは学生のための学校に変えようと、予備革新学校の申請を準備したが、すぐに壁にぶつかった。ホン・テスク先生(43歳)は「当時、在籍していた校長は、全教組によって学校が難しい状況になりかねないとして反対した」と話した。

教師たちは、他の方法を考えた。ホン先生は、2013年4月に学校予算・決算を扱う学校運営委員会の会議に出席し、1年に2000万ウォンを上回る売店賃貸収益を学生の福祉のために使うべきだと主張した。行政室長は、「学校運営費として使っている、売店賃貸収益は学校運営委員会がかかわるべきことではない」と言った。

しかし、キム校長は、ホン先生の言葉に共感を示した。現組合理事長である保護者のキム・ヒョンミさん(48歳)は、組合を作ろうというアイディアを思いついた。以後、校長・教師・保護者が力を結集させた。8月に組合員20名が集まり、トクサン高校健康売店協同組合を立ち上げた。その年の10月、売店の入札に参加し、2000万ウォンを提示した。しかし、最高入札方式だったため、さらに高い金額を提示した業者が契約を獲得した。

組合員たちは、落札業者を訪ね、涙を浮かべながら、「学生たちのために売店を運営したいので譲歩してくれないか」と要請した。しかし、「なぜ入札金を高くしなかったのか」と冷ややかな反応が返ってきた。当時、組合の理事長だった保護者のカン・ヘスンさん(46歳)は、「精神的にまいったが、意志だけではダメだと悟った」と語った。

学校の構成員たちは、2014年6月社会的協同組合を再度立ち上げた。保護者たちとホン先生は学生たちを対象に環境に配慮した食べ物と社会的協同組合教育に乗り出すなど、雰囲気を盛り上げた。組合は同年10月の入札を前にして出資金として400万ウォンほどを集め、これに借りた金額を合わせて800万ウォンを提示した。組合は、2014年10月から来る2月までの4か月間、売店の運営権を得た。

組合員たちは、環境に配慮した食べ物を仕入れたり、近くの生活協同組合で安く買ってきた。学生たちが好きなパンや牛乳の価格を落とし、バナナ牛乳は1300ウォンから1000ウォンに価格を下げた。学校の前の店との共存のため、値下げ幅を調整した。学校売店にだけ供給される低価格で低品質のパンをなくそうとしたが、学生たちの財布事情を考慮して、価格だけを下げた。保護者の組合員たちは、所定の賃金だけをもらい、直接食べ物を販売することにした。

売店は居間のように・・・活気に満ちた昼食のテーブルを囲む会

食べ物が安くなったので、学生たちが喜んだ。組合員になると誰でも食べ物の選定と価格調整に参加できるということが知られると、組合員として加入する学生たちが増えた。組合員71名中31名が学生たちだ。2年生のキム・スヨンさんは、「組合にピザチーズパンを仕入れようといったら本当になって驚いた。他の学校の友達に自慢した」と話した。

組合理事長のキム・ヒョンミさんの娘である2年生のハヌルプルンさんは、売店の雰囲気が大きく変わったと言った。「お母さんは友達に娘たちよいらっしゃいと親しげに対応していて、私よりも友達の名前をたくさん覚えているようだ」と言い、「友達が組合のお母さんたちに人生相談をしている姿を見るのはいい感じ。学校を誇りに思う」と話した。

キム校長も売店をよく利用する。キム・スヨンさんは、「売店で何百ウォンか足りない時、校長先生がお金を出してくださる」と話した。キム校長は、「学生たちは社会的協同組合売店を経験しながら競争の激しい教育環境で一緒に生きていく方法を学んでいる」と語った。

組合は、冬休みの時にも売店を運営し、学生たちの方から歓迎を受けた。それに先立って、組合は11~12月の2か月間、200万ウォンの赤字となった。高い家賃でも最小限の収益におさえるために価格を大幅に下げた上に、修学能力試験の後、3年生の学生たちが早く下校したためだ。キム・ヒョンミさんは、「危機意識を感じることはない。赤字が出たのは、それだけ学生たちに安く売ったということではないですか」と笑った。

学校が長い休みの時も売店を運営するのは、昼食をとれない学生たちが心配だからだ。休みの間、放課後授業に出る学生は、全校生徒1000名中250名ほどだ。この日、学校を訪れた学生は、数十名にすぎなかった。コストの問題で学校給食は提供されなかった。冬休みの時の売上は、11月の1日あたりの売上(50万ウォン)の50分の1程度にすぎなかった。それでも組合員たちは、食べ物を売り、収益をあげるよりも、学生たちとおにぎりやトッポキなどを作ってあげるのに気を遣った。

売店は、いつか居間に変わっていた。売店の片隅にあるかごには、ラーメン、スパム、コーヒーが入れられた。学生たちが置いていったものだ。パク・ヨンインさんは、「学生たちが昼食で集まる時に一緒に食べようと置いていったものです」と言いながら、「今日、カレーにしようと言ったら学生たちがじゃがいも・たまねぎ・お米を持ってきて、感心だ」と言った。ホン先生も、「学生たちは、売店を利用して人間性が変わってきた」と言った。

地域社会でも売店を利用する人達が増えている。噂になったからだ。キム・ヒョンミさんは、「住民たちが会議をしながら売店を利用したり、私たちの意図を知って応援してくれる人たちもいる」と言い、「売店をやっているおかげで、お金に換算することができないような感動を得ている」と話した。

「多額のお金を残すのが売店の目標ではない」

保護者のカンさんは、「組合員たちの献身でここまでくることができた」と言い、「組合の売店運営が持続可能にするためには多くの準備が必要だ」と話した。去る12月、社会的協同組合が学校売店を運営する時、随意契約ができるように、“ソウル市教育監所管共有財団管理条例”が改正された。来る2月の入札時に、賃貸料の負担を低くして売店運営権を獲得する道を切り開いた。

このような制度的裏付けは、学校構成員たちの努力があったからこそ可能になった。これから安定的な収益基盤を整えたとしても、収益を多くあげることが売店の目標ではない。ホン先生は、「利益はたくさん残して学生たちの福祉のお金として使うのもいいが、価格を低くして在学生も卒業生も学校の売店で負担なく環境に配慮した食べ物を容易く購入できれば、これ以上のことはない」と話した。

原文(韓国語):ソン・デシク/オーマイニュース記者
http://m.ohmynews.com/NWS_Web/Mobile/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002072642