3月 312015
 

センター今回は、ノウォン(蘆原)区コンヌン(孔陵)洞の「夢共同体」をご紹介したいと思います。ソウル市の東北に位地する蘆原区孔陵洞は、青少年のサポートを始めとして、住民たちのさまざまな活動が重層的に広がっている地域です。中心になっているのは、蘆原区が設立して2011年2月にオープンした「青少年文化情報センター」ですが、区が聖公会大学に委託し、民間らしい柔軟な運営がなされています。

センターを運営するのに軸になっているのは、「最もすばらしい学習の原則はマウルであり、マウルは競争もなく多様な夢を見られるところにならなくてはいけない」「日常とマウルでの経験が最高の学習だ」という哲学です。その哲学にもとづいて、地域のなかの社会資源と既存の活動を最大限活かし、それらをネットワーク化するというハブの役割を果たしているのが、このセンターです。このネットワークは「夢マウル共同体」と名付けられ、〈地域資源〉をめぐるマウルツアーのプログラムなども住民たちによってつくられています。

センター内センターの1階には、子ども図書館と青少年閲覧室、カフェ「花の喫茶店」、寄贈されたアイテムを販売し、その収益を恵まれない子どもたちの食事代に活用しているリサイクルショップ「心強い隣人」があり、ボランティアによって運営されています。2階から上も、ビリヤードができたり、音楽ができたりする部屋、学習室などがあり、いつでも青少年が自由に使えるようなスペースになっています。訪れて印象に残るのは、若者の自主サークルが中心になって進めた「壁画プロジェクト」により、ここそこにイラストが描かれ、「公共施設」が柔らかく楽しい空間につくりあげられたことです。

このセンターを中心に歩いて30分圏内には、若者の住居貧困を解決するためにソウル市が取り組んでいる公共住宅があり、1階には、若者のマウル企業「文化創作所マディ」が区から委託されて運営している公共ブックカフェ「マウルとマディ」があります。マディとは、韓国語で竹の節という意味で、成長ばかりを追究してきた韓国社会で、一休みしながら自己を省察する空間にしたいという思いが込められているとか。マウルとマディ

そのほかにも、地域住民が伝統芸能のワークショップに参加したり、地域で文化イベントを企画・運営する「劇団楽しい人々」、「美しい店」、「幸福中心」(生協:前女性民友会生協)、さまざまなカフェ、地域のパン屋さん、社会的起業のインキュベーションセンター「アスピリンセンター」など、住民たちが出会い、暮らしを豊かにする“資源”がたくさんあります。

ユースカフェしかし、かつて日本による植民地統治下では、科学技術の開発と軍事訓練を行うためにこの地が選ばれ、京城帝国大学理工学部や、陸軍士官学校が建設されたという歴史もあります。そして、当時、日帝のさまざまな物資を運搬するために敷設された鉄道は、現在では、もとの形を活かした、長い長い公園となっており、「日帝による痛ましい歴史を忘れない」「だからこそ平和な共同体をつくる」というこの地の住民たちの強いメッセージが込められているようにも思えました。

最後に、マウルの住民たちがつくったマウル宣言文を皆さんと共有したいと思います。

ともに学び、成長する
孔陵洞夢マウル宣言文

私たちは
隣人と隣人が喜びをもって挨拶を交わし、コミュニケーションし、協働することができるマウル、マウルのすべての子どもたちが、堂々とし、しっかりと成長することができるように、子どもたちの夢を応援するマウルとして孔陵洞をつくっていくために集まった。

私たちが夢見る夢のマウルは、
1.私たちの子どもたちが、夢をともに育むことができる夢共同体マウルだ。
2.学びと教えがマウルのあちこちに溢れている学習共同体のマウルだ。
3.マウルのあちこちに、夢見る文化が流れている文化共同体のマウルだ。
4.隣人をケアし、人と人がともに暮らす幸福な共同体のマウルだ。

私たちはマウルを大切にし、子どもたちの健康な成長と夢を応援するすべての者は、夢マウル共同体の一員だ。夢マウル共同体は、孔陵洞を夢のマウルにつくっていくために、マウルのすべての人々が、力と知恵を集め、ともに努力していくことを誓う。

2012年9月9日
孔陵洞夢マウル共同体

(桔川純子)
 
青少年文化情報センターHP: http://www.gycenter.or.kr/