7月 292015
 

今年の3月、ソウルにあるプレシアンの事務所を訪れ、田洪起恵(チョンホン・
ギヘ)編集局長にお話を伺う機会がありました。アメリカのAP通信など、記者
だけの協同組合のメディアはありますが、記者、運営従事者、読者がともに
組合員となっているメディア協同組合としては世界でも唯一の存在だという
ことです。今回は、この韓国のインターネットメディア「プレシアン」に
ついてご紹介したいと思います。

「プレシアン」は、2001年「視点が明確なニュース」というコンセプトのもと
に創刊されたインターネットメディアです。メディアの影響は非常に大きいこ
とから、既存のメディアに対して、オルタナティブなメディアを設立する動き
としては、2000年に創刊された、一般市民が市民記者として記事を寄稿するこ
ともできる「オーマイニュース」が有名ですが、インターネットの普及により、
さまざまなメディアが登場しています。ポットキャストを通じて配信するイン
ターネットラジオ「ナヌンコムスダ(私はみみっちいやつだ)」なども、ソウ
ル市長選などには大きく影響を及ぼしました。

協同組合基本法が2012年12月に施行されてから現在まで、多様な協働組合が誕
生していますが、プレシアンは、2013年に協同組合という運営形態に転換しま
した。プレシアンのホームページには、「読者とのコミュニケーションを強化
し、独立メディアで地位を確立するために、協同組合に切り替えました。」と
ありますが、自由に報道するためには、広告に頼らず、「独立」することが重
要なのだということを、田洪編集局長は強調されていました。大企業への批判
記事などを掲載すると広告が次々と取り消され、経営危機にも陥ったとき、好
条件を提示し、買収を申し出た大手メディアもあったそうですが、彼らは「独
立」という道を選択したとのことです。生き残るための手段が、「協同組合」
だったのです。

現在、3万ウォンの出資金と月1万ウォンの組合費を負担する組合員が約2500人、
サポート会員が約1700名だということです。田洪編集局長は、これからもオン
ライン・オフラインで読者とできるだけ交流する機会をつくることにも力を
注ぎたいとおっしゃっていました。

過剰ともいえる情報量のなかで、自分に必要な情報、信頼できる情報を取捨選
択することに費やす労力は少なくはありません。2500人の組合員、1700人のサ
ポート会員は、信頼に足りるメディアに賛同し、それを支えていこうとする人
たちです。「プレシアン」が、独立したメディアとして、今後どのような可能
性を示してくれるのか、随時お知らせしていきたいと思います。(桔川純子)

プレシアンのホームページ http://m.pressian.com/m/index.html