8月 272015
 

隔月刊『社会運動』2015年3月号
特集「韓国に学ぼう」

インスクリプト 700円+税
市民セクター政策機構

雑誌の苦況

今月の書評の対象は雑誌である。隔月刊『社会運動』の3月号だ。その特集が
目に止まった。「総力特集:韓国に学ぼう―市民の底力がつくる互助の社会」
雑誌の分量の3分の2が特集に充てられている。今号が417号。歴史のある雑誌
だ。それでも雑誌全体の苦況に抗しきれず、最近月刊が隔月刊となった。その
分特集に力を入れ、単行本に匹敵する内容をめざしている。こんなに生きのい
いテーマは雑誌の独壇場だ。多様なテーマと堀下げは書物に対抗する。

韓国に学ぼう

特集に、有名な学者などは登場しない。ソウル市長は有名人だが、語っている
ことは、ソウル市の行政のことではなく、協同組合・社会的経済のことなのだ。
編集部は、韓国の社会的経済(社会的企業、社会的協同組合、連帯経済、共助
型福祉)、市民運動・社会運動、コミュニティ運動にスポットをあて、そこに
韓国市民社会の強さ、魅力を探ろうとした。

それにしてもユ・チャンボク(ソンミサンマウル)、キム・ウィソン(一人デ
モ)のかもし出す楽しさはなんだろう。ここに述べられている運動は、すべて、
各地域の、個別の運動や取り組みや議論である。この特集を読むと、地域と個々
人と活動は元気で、強大な権力の大統領のいる中央政界、巨大な財閥を擁する
中央経済界がその元気に追い付いていない状況をよく理解することができる。

「学ぼう」ということは、相互に「学ぼう」ということでもある。日韓相互の
市民社会の交流は、ますます深められなければならない。

雑誌というメディア

特集から離れても、隔月刊化とともに、連載執筆人も意欲的な顔ぶれになって
いる。柄谷行人、太田昌国、青木理各氏の連載。ちょうど本号で、青木氏が
「朝日新聞慰安婦報道」、「吉田調書スクープ報道」について触れている(氏
の『抵抗の拠点から』も参照)。雑誌はメディアの残置諜者、内部告発者、獅
子身中の虫たることも期待されている。

苦況にあると言ったが、雑誌というメディアの形も悪くない。読者諸賢には今
後とも『月刊自治研』をまず読んでいただき、あわせて『社会運動』も読んで
いただくことを願う。 

(評者:菅原敏夫、『月刊自治研』2015年5月号より)

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