12月 272015
 

okutama stn先週の三連休の始まりを山で過ごして来た。山は、9月に富士山に登ってから約2ヶ月ぶり。しばらく行っていなかったので、ちょうど恋しくなり、数日前になっていつも一緒に行くヒョン(兄貴)に連絡して唐突に山に行くことを決めた。山と恋に落ちた人は、毎週山に行くというが、私の場合、昨年秋から始め、今回が10回目の山歩きだ。ここまで来れば私もそろそろ山と恋に落ちる段階に近いのではだろうか?

リュックに飲み物と昼食、そしてちょっとしたおやつを準備した後、新宿駅に向かった。今日の目標である三頭山までは、JR中央特快に乗って奥多摩まで行かなければならない。プラットホームでヒョンと待ち合わせて8時4分の特別快速に乗った。最初は比較的空いていたが、駅を一つ二つ過ぎるごとに人々が乗車してくる。三連休のせいか、電車はたちまち乗客でいっぱいになった。中には普段着を着た人もいれば、登山する服装で隣の人と会話を交わす人もいたが、みな秋の紅葉を見に山に行くようだった。子供を連れて来た親たち、恋人同士、同好会の集まり、そして外国人まで、多様な人たちが奥多摩行きの電車に乗っていた。

その前日まで雨が降り続いていて、土曜日の天気予報も曇りと出ていたので心配したが、幸いなことに、朝から晴れの天気となった。そのためか、電車に乗った人たちから安心の表情と共に紅葉を楽しめるという興奮が共存しているのを感じた。そうした人たちの様子をみて、ふと、昨年、韓国で見た光景を思い出した。

去年の暮れの週末、一番下の叔父に会うために早朝7号線の地下鉄に乗った。叔父の家があるジュンゲ(中渓)駅へ向かう間、登山する服装の人たちが地下鉄に一人二人乗り込んでくる。最初はこんなに朝早く山へ行くなんて凄いなと思っていたが、時間が経つにつれ段々その数が増えて来た。小学生からお年寄りまで、中渓駅についた頃には地下鉄の中は文字通り“朝登山客”でいっぱいになった。そういえば、ソウルに住む人は皆、北漢山へ行くというから、そこへ行くために皆朝早くから集まったんだな、と思った。ソウルの人たちが山登りをするために北漢山に行くように、東京の人たちが奥多摩に向かう姿に、国も文化も違う両国だが、何だか似てるな、と感じた瞬間だった。

一時間半ほど経っただろうか。拝島駅を過ぎて御嶽駅に到着すると、電車に乗っていたほとんどの人たちが降り始めた。「ああ、ここで下りたら大岳山だけど、みなケーブルカーに乗って紅葉を観に行くんだな」と思った。私も以前2回ほど行ったが、上る途中に小さな神社もあり、景色も良いので、楽しく登山できるコースだった。しかし、今日のわれわれの目標は三頭山。終着駅である奥多摩駅まで行き、そこからまたバスに乗って30分程奥へと入って行かなければならない。

santosanバスに揺られてどのくらいたっただろうか、奥多摩湖をすぎて間もなく私たちの目的地に辿り着いた。荷物を背負ってバス停で降りて浮橋を渡ると、三頭山の案内板が我々を待っていた。そこからさらに10~15分程歩くと、ついに山の入口が見えた。ふと時計を見たら、12時になっていた。8時に電車に乗ったというのに、ここまで来るのに4時間もかかるなんて、山にハマると皆こうなっちゃうのかな、と思った。

山はひと目見ただけでも斜面がかなり急なようだった。登る前にもう一度靴ひもを結び、荷物を軽く点検する。1週間ほど雨が降ったせいか、きれいにみえた外からの景色とは違って山の中の道はどろどろの泥だらけだった。ただでさえ滑りやすいのに、落ち葉がみなおちて余計に足元に慎重でなければならない。さらには、落ち葉で地面が隠れてしまっていて、行く先の分かれ道がよく見えなかった。おかげで、登山する間に2-3回程、途中で道を間違えてしまった。

連休だったが、人は思ったより少なかった。確かに、高尾山や大岳山ならともかく、周辺に山以外は何もない三頭山まで来る人はそう多くないだろう。それでも山を登る間、10~20人程の人と行き交った。私達より先に登山して途中で休んでいる人もいれば、反対側から登ってきて、早くから下山する人たちもいた。下りてくる人たちとはすれ違う際に軽く「こんにちは」とあいさつを交わす。人が少ない山では、互いにこのようにあいさつを交わしたりする。理由は分からないが、誰が先にということもなく笑みを浮かべなら口を開く。もちろん、それは韓国でも同じだ。

考えてみると、都市ではすぐそばにいる人と一言も言葉を交わさずになんとなく通り過ぎるのに、ここではそうではない。なぜだろうか。山が閉ざされていた人々の心を開いてくれるからだろうか?多分、山ならそうした能力が十分にあるのだ。私はなぜかそう信じたくなった。いや、きっとそうだろう。

2時間半ほど上ったり下ったりを繰り返した末に頂上にたどり着いた。頂上にある標木を見て喜んだのもつかの間、だいぶ体力を使ったせいでお腹が鳴り始めた。空きっ腹を満たすために早速食べ物を取り出した。カップラーメンとおにぎりなどをテーブルの上に出し、少し遅い昼食を食べ始めた。いつも感じることだが、山での食事は美味しい。疲れてへとへとになった時のご飯は、本当に力になる。だから、苦労の末に得たものがこんなにも有難いものなのかと思う。

楽しい食事の時間が終わるやいなや、早々に後片付けをして下山準備をする。冬の山は日が暮れるのが早く、4-5時になれば真っ暗になるために急がなければならない。頂上にやっとたどり着いて20分滞在したら再び下りなければならない。上るのにはかなりの時間を要するが、頂上には一瞬だけしかいない。後は下りるだけ。3年目の僕の社会人としての経歴もしばらくは右肩上がりだが、いつかは落ちる時が訪れるだろう。

okutama lake無事にすべての山登りを終えて新宿に戻ったのが夜の8時だ。わずか4~5時間の登山のため、丸一日使った。山に行くといつもこうだ。それでも嬉しい。なぜかというと、山には本や社会生活では学べないモノを得ることができるからだ。だから、仕事中でも偶然山が見つかると、こんなにも嬉しいのかも知れない。

これからも僕の山登り生活は続くが、今後は日韓の山だけではなく、もっと多くの世界の山へ旅して行きたい。来年の春、山が緑色に染まる頃に、皆様もぜひ一度山へ行かれることをおすすめしたい。

文:イ・ジュンヒョン/元希望の種インターン